クドカン的ビッグダディ物語『11人もいる!』

クドカン的ビッグダディ物語『11人もいる!』 Dorama

いらっしゃいませ。
「名作BAR」のMasterYです。

本日の名作は
『11人もいる!』となっております。

宮藤官九郎さん。
通称「クドカン」。

彼の脚本作品は
本当に毎回何かと話題になりますよね。

最近でいうと『不適切にもほどがある!』を
平日の仕事を頑張ったご褒美と思い
金曜夜に感情を爆発させて観ていたものです。

今ではすっかり夢中になっている
クドカン作品ですが
恥ずかしながら
初めて意識したのは大学生になってから。

クドカン作品だと知らずに
中学生の頃に『うぬぼれ刑事』を観ていたことも
クドカン作品を調べて初めて気づいたほど。

そこで今回は私が意識して
クドカン作品を観始めたきっかけの作品に
ついて紹介させていただきます。

それでは、本日の
「名作BAR」開店です。

11人もいる!との馴れ初め

『11人もいる!』の放送当時、私はクドカンの存在も俳優としての星野源の存在も全く知らなかった。そもそも、このドラマが2011年に放映されていたということにさえ全く気づいていなかった。今から思い返してみれば、非常にもったないことをしていたなと思う。

そして時は流れ、大学生のときに
星野源のエッセイ『蘇る変態』を読み
『11人もいる!』の存在を私は初めて知ることに。

しかし、そのときも「こんなドラマがあったのか!
へぇ〜、星野源って俳優としても結構活躍していたんだな」と思っただけにすぎなかった。

私と『11人もいる!』の関係を急接近させたのは2019年になってから。
これには、クドカンが大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を手掛けて何かと話題になったことと
私が8月〜9月にかけて『週刊文春』を1ヶ月間読んでいたことが密接に関係している。

『週刊文春』と『11人もいる!』との関係は?と首を傾げたくなる人もいるかもしれない。
この2つの関係は単純だ。

『週刊文春』でクドカンが「いま なんつった?」という連載をもっている。
ただそれだけである。『いだてん』、『いま なんつった?』という2つが
「クドカン作品を観たい!」という私の気持ちを見事に誘い出してくれたのだ。

そして、決定打であったのは「Amazon primeビデオ」の存在である。
クドカンの作品何か観たいなあという気持ちで
「Amazon primeビデオ」にある日本ドラマを探していたら
『11人もいる!』を思いがけず発見する。

これは観るしかない。

再生ボタンを押すまでそう時間はかからなかった。

物語の概要

父親(田辺誠一)は無職の金なしカメラマン。
母親(光浦靖子)はめったにお客が入らないカフェを経営している。

だが、この一家はなんと子供が8人の大家族。
一体どうやって生活をしているのか。

実は、高校3年生である長男の一男(神木隆之介)が、
この大家族の唯一の収入源。

朝は新聞配達、夕方はガソリンスタンドのバイトをこなし
なんとか家計を支えていたのだ。

なんて若い頃から苦労ばかりの長男なのであろう。

本作は回が進むごとにこの長男に対して試練しか訪れない。
それが本作の面白いところだ。

本作はこの大家族に巻き起こる怒涛のハプニングを
「可哀想すぎて観ていられない」と思われない
ギリギリのラインでコミカルに描いた作品である。

タイトルの意味

タイトルの「11人もいる!」というのは、
父親の前の妻(広末涼子)が、
幽霊として家の中にいることからきている。

父親と今の母親の子供であるサイゴ(加藤清史郎)にだけ
この元お母さんの姿が見えるのだ。

そして、家族会議をするときにサイゴが人数を数えると1人多い。
それで、「あ、11人もいる!」ということ。

クドカン作品の魅力

なかなかハチャメチャな設定とストーリーだが
観ているうちにだんだん中毒性を増し
続きが気になってしょうがない自分がいる。
これが脚本の力なんだろうなあ。

物語の面白さや登場人物に降りかかる災難に笑わされるだけでなく
「家族」の大切さをふと考えさせてくれる。
そんなステキな作品になっているのが良かった。

一般的なドラマ脚本と宮藤さんの脚本との違いで特筆すべきなのは、
宮藤さんは説明台詞をあまり使わず、一見無駄な会話ばかりを使って
物語をぐんぐん進めてしまうところだ。
くだらないギャグに気を抜いてケラケラ笑って見ていると、
いつの間にか物語は進み、感動し、泣かされていたりする。
言葉巧みに冗談を織り交ぜながら最後には服を脱がせてしまう
ナンパ師AV男優みたいな人だ。

星野源(2014)『蘇える変態』文藝春秋 「『11人もいる!』より引用

「まさにその通り!」と思ったと同時に、
登場人物が一見無駄な会話ばかりしているが
それすらも伏線となり、思わぬところまで見るものを連れて行ってくれる。
そんな作品が大好物だということを思い出させてくれたものだ。

キャストも豪華で、最初から最後まで楽しんで観れる作品だった。
神木隆之介によるダメ男っぷりの演技はさすがの上手さ。
彼にはなんでこんなに報われない役が似合うのだろう。カッコいいのに・・・。

一男は視聴者や家族の期待をすぐに裏切る最高の主人公であったなあ(笑)。

また有村架純がチョイ役であったのが驚きで、
同じくチョイ役であった星野源の方が大目立ちしていた。
星野源の存在感が気持ち悪いほど目立っていたと言ったほうがいいのかもしれない。

本作での星野源の演技には何度も何度も笑わされた。素晴らしい役者さんだな。
ひろゆきおじさんといえば、あのちょっとキモい星野源の顔がすぐに脳裏をよぎる。
本作で圧倒的な存在感を残した星野源であった。

ちなみに、ひろゆきおじさんとは、
借金を抱え、ニートとなり真田家にパラサイトしている
かなり厄介な親戚のことである。

おわりに

真田家による「家族なんです」が胸に染み渡る。
星野源の歌声も癒されるなあ。劇中の演技とは大違いでそれもまた面白い。
かなり気軽に笑って観れるおすすめの作品である。

個人的には、OPで流れるNICO Touches the Wallsの『バイシクル』がかなり好きだ。
真田家のみんなと一緒についついテレビの前で踊り出したくなってしまうぐらいノリのいい曲である。

この曲を聴くと、高校生のときに「NICO Touches the Walls」のライブに行ったことを鮮明に思い出す。本当に良いバンドだったなあと。

(出典 : 【YouTube】Sony Music (Japan) NICO Touches the Walls 『バイシクル』)

本日の名作『11人もいる!』

参考文献

星野源(2014)『蘇える変態』文藝春秋

関連作品

『不適切にもほどがある!』

タイムスリップものに飽き飽きした人にもおすすめできる、
コメディハートフルタイムスリップミュージカル作品である。

コメディ×ミュージカルの組み合わせはいいね。
平日の疲れを全て金曜日の夜に吹き飛ばしてくれる
そんなパワフルの作品であった。

中でも毎週唐突に物語の中に組み込まれる
「ミュージカルパート」が本当に毎週楽しみであった。
阿部サダヲの演技に惹き込まれる。小川先生としてしかもう見れなくなった。

最初かなり嫌な奴だったが、
回を重ねるごとに魅力的な人物になっていくのは鳥肌ものだ。

職場の同僚に薦められて何気なく見始めたドラマであったが、これが大当たり。

クドカン節炸裂の1作であった。
毎週続きの話が待ち遠しいドラマがある生活は「なんて素晴らしいことだ」
と幸せを嚙み締めることができたものだ。

CrepyNutsの「二度寝」も頭から離れない最高の曲であった。
ほんとに毎回ゲストが豪華すぎる贅沢な作品であったなー。

『レザボア・ドッグス』

『ODD TAXI』

それでは、次の名作でお待ちしております。

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