いらっしゃいませ。
「名作BAR」のMasterYです。
本日の名作は『フォード vs フェラーリ』となっております。
これが実話であることが驚きです。
レースの場面は、おもわず身を乗り出してしまうほど迫力があり、目の前の光景に惹きつけられてしまいました。
盛り上がること間違いなしのレース場面が盛り沢山で大満足。フォード vs フェラーリの白熱の闘いは、観る者の心の導火線を燃やし、アドレナリンまみれにさせてくれるはずです。
それでは、本日の「名作BAR」開店です。
物語の概要
本作は盛り上がりが2つある。
どちらもレースであることに変わりはないのだが、①ル・マンのフォードGT40のドライバーを賭けてシェルビー&マイルズのコンビがフォード社に挑む話。
そして、②1966年ル・マンの本戦でのマイルズ vs フェラーリの最速の戦いである。
どちらも甲乙つけ難いほど素晴らしい戦いであった。
本作の魅力
カメラワークが最高で、レースの臨場感がこれでもかってぐらい伝わってきてアドレナリンが溢れ出た。
レースシーンでのカメラワークが、レースの臨場感を見事に捉えていた。特に、ドライバー目線の映像は迫力満点である。
ル・マンは常に死と隣り合わせのレースなんだなということが本作を観るとよくわかる。
前を走っていたクルマが事故ってしまったら、後続車までも巻き込まれる危険がある。
しかも時速250kmで走っているときに、事故車が目に入ると、ハンドル操作を誤り自らも事故ってしまうことも多いだろう。
動体視力が鍛えられていなかったら、絶対に出来ないスポーツだ。
なにせ、24時間も走り続けなければならないのだから、精神力も体力も不可欠である。ル・マンのドライバーたちは、ストイックすぎるよ。
雨の中、なおかつ夜間のレースになると、フロントガラスが雨で見えにくくなり、視界もかなり暗くなる。
そして、地面が濡れているので、タイヤがスリップする危険すらある。
こんな状況の中でも、コーナーギリギリを狙って勝負をするドライバーたちの勇姿にゾクゾクさせられた。
ドライバー目線で映像を見せてくれるので、夜の雨の中での視界がどんなものなのかを観客も体感できるのがいい。
こんなにも視界が見えにくい中で彼らはあれだけのスピードを出して走っているのかと恐怖したものだ。
私の1番好きな場面
シェルビーが、ル・マンでフェラーリに勝って優勝するためには、どうしてもマイルズをドライバーにしなくてはならない。
そのことをテスト・ドライブの際に、フォード2世に直談判する場面が私のお気に入りだ。
GT40にフォード2世を乗せてシェルビーが元ル・マン優勝者の走りを体感させるシーンなのだが、このときのフォード2世の反応に笑ってしまった。
かなりのGがかかっていたはずだ。こんなにも凄いクルマであるとは思っていなかったようで、驚きのリアクションの連続であった。
GT40の走りを体感したフォード2世は、笑い泣きながら「先代にこの車を一度でいいから見せたかった。」と漏らす。このシーンは感動的であった。
また、シェルビーがフォード2世に持ち掛けた取引条件もマイルズに全てを懸けているということが伝わってきて、胸が熱くなったものだ。
おわりに
フォードとフェラーリの過去に「買収」の話が転がっていたことを本作で初めて知った。
フォード社にとって、フェラーリ社は因縁の相手であったことがよくわかった。本作はただのレース映画ではなく、企業戦争の裏側も丹念に描かれていたのだ。
また、フォード社 vs フェラーリ社の戦いだけでなく、フォード社内でのスーツ組 vs ドライバー&エンジニア組の戦いも白熱していたのが大変魅力的であった。
本作はフォード社内のドライバー&エンジニアvsスーツ組 (上役たち) の物語でもあったのだ。
スーツ組のしたたかさや強引なやり方には、腹が立ってしまったほど。平気で嘘までついて、シェルビーやマイルズの邪魔ばかりする。スーツ組の横やりが本当に邪魔でしょうがない。
フォード社内での攻防がこんなにも繰り広げられていたとはまったく知らなかったなあ。
このように本作は「ル・マン」の舞台裏についても非常に楽しめる素晴らしい作品であった。
本日の名作『フォード vs フェラーリ』
【キャスト】
キャロル・シェルビー:マット・デイモン
ケン・マインズ:クリスチャン・ベイル
リー・アイアコッカ:ジョン・バーンサル
モリー・マイルズ:カトリーナ・バルフ
ヘンリー・フォード2世:トレイシー・レッツ
レオ・ビーブ:ジョシュ・ルーカス
ピーター・マイルズ:ノア・ジュプ
エンツォ・フェラーリ:レモ・ジローネ
【スタッフ】
製作:ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング、ジェームズ・マンゴールド
製作総指揮:ケビン・ハローラン、デーニ・バーンフェルド、マイケル・マン
脚本 : ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワース、ジェイソン・ケラー、ジェームズ・マンゴールド
監督 : ジェームズ・マンゴールド
撮影:フェドン・パパマイケル
美術:フランソワ・オデュイ
衣装:ダニエル・オーランディ
編集:マイケル・マカスカー、アンドリュー・バックランド
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
【作品情報】
製作年:2019年
上映時間:153分
製作国:アメリカ
配給:ディズニー
【受賞タイトル】
第92回アカデミー賞 編集賞
第92回アカデミー賞 音響編集賞
第77回ゴールデングローブ賞 最優秀主演男優賞(ドラマ)クリスチャン・ベイル
関連作品:『栄光のル・マン』(1971)
プロのレーシングドライバーの過酷さを描いた名作である。
「完璧な走りを極限まで追い求める熱い男たちの物語」がここでもたっぷりと描かれている。
『フォード vs フェラーリ』で「ル・マン」に興味を持った人ならば、楽しめる1作となっている。
カーレーサーとしての顔を持っていた名優スティーブ・マックィーン。彼のダイナミックなカー・アクションに魅了される人は多いはず。
『栄光のル・マン』の舞台裏を描いたドキュメンタリー作品『スティーブ・マックィーン その男とル・マン』と合わせて味わってみてはいかがだろう。
それでは、次の名作でお待ちしております。
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